Personal


[バックナンバー]
佐々木淳吾 ぢゅんご式大人の読書感想文
佐々木淳吾


誕生日
1976年11月25日
出身地
東京都 江東区
血液型
O型
担当番組
【テレビ】
ウォッチン!みやぎ
(月〜水)7:30頃〜8:00

【ラジオ】
うたまつり!
(日)18:30〜19:00
趣味
車、靴、時計、カメ
今、興味のあること
英語とイタリア語の親戚関係
得意ジャンル
007シリーズ
好きなタレント、芸能人
広瀬すず
ナタリー・エモンズ
私の好きな・・・
映画
「ニューシネマ・パラダイス」
「きみに読む物語」
「シャレード」
お気に入りの場所
愛車の運転席
私のよく行くお店
うなぎの開盛庵
藤崎百貨店
私ってこんな人です
落ち着きがない!
超マイペース!!
『タイヤが飛んだ!悪いのは誰?』
2018/06/19


  ページをめくる手が止まらない−。本の広告や帯に、そんなキャッチコピーを見ることがある。感じ方は人それぞれ…というその手の売り文句ではあるが、たまにそれを実感させられるような読書体験をさせられることがある。今回は、そんな1冊。

  映画「空飛ぶタイヤ」公開にあわせ、原作本を読んだ。池井戸潤の同名小説「空飛ぶタイヤ」は、文庫本にして800ページを超える大作。レンガみたいなボリュームの本だから、書店で手に取るにはちょっと勇気がいる。講談社文庫版は上下巻に分かれているが、僕は勇気を出して実業之日本社文庫版=レンガのほうを選んだ。
  主人公の赤松徳郎は、中小の運送会社を経営する2代目社長。ある日、横浜の路上で自社のトラックから重さ100kgを超えるタイヤが外れ、歩道を歩いていた母子に直撃。母親を死なせてしまう。
  トラックのメーカーであるホープ自動車の調査結果は「整備不良」。タイヤと車軸をつなぐハブという部品に適切なメンテナンスが施されていないと、赤松運送側の過失を指摘した。
  業過致死傷で逮捕されるかも知れない恐怖。離反する取引先や銀行。そして世間から向けられる白い目。四面楚歌の状況にあって、徳郎は実直な整備士の仕事を信じて行動する。自社にふりかかった疑いと亡くなった母親の無念をともに晴らすべく、文字どおり東奔西走するのだ。
  いうまでもなく「空飛ぶタイヤ」は、実際にあった大手自動車メーカーによるリコール隠し事件を題材にしている。最初の発覚から4年後に再び繰り返された(発覚した)、より規模の大きなリコール隠しでは、欠陥車両を放置したために2人の尊い命が奪われた。巨大企業による組織ぐるみの犯罪と闘う中小企業の反骨精神は、池井戸潤にとって重要なテーマであったに違いない。
  たぶん多くの読者が「そう来なくちゃ」と思う展開そのままに、物語は進む。それでも退屈とは縁遠い。800ページ超のボリュームを感じることなく、読みとおせるはずだ。つまり本の面白さとか読みやすさとかいったものに、展開が予想できるかどうかはあまり関係がないということだ。
  むしろ、魅力的な登場人物と、彼らを操る作者の緻密な構成が、この手の作品の面白さを左右するのではないか。あなたがもし、結末が読めそうだからと「空飛ぶタイヤ」を遠ざけていたとしたら、それはずいぶんもったいないことだ。

   


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