Personal


[バックナンバー]
佐々木淳吾 ぢゅんご式大人の読書感想文
佐々木淳吾


誕生日
1976年11月25日
出身地
東京都 江東区
血液型
O型
担当番組
【テレビ】
ウォッチン!みやぎ
(月〜水)7:30頃〜8:00

【ラジオ】
うたまつり!
(日)18:30〜19:00
趣味
車、靴、時計、カメ
今、興味のあること
英語とイタリア語の親戚関係
得意ジャンル
007シリーズ
好きなタレント、芸能人
広瀬すず
ナタリー・エモンズ
私の好きな・・・
映画
「ニューシネマ・パラダイス」
「きみに読む物語」
「シャレード」
お気に入りの場所
愛車の運転席
私のよく行くお店
うなぎの開盛庵
藤崎百貨店
私ってこんな人です
落ち着きがない!
超マイペース!!
『一期一会…人も朝顔も』
2018/07/10


  今年も我が家のベランダのアサガオは、元気いっぱい花を咲かせている。咲き終わったらタネを取り、翌年また土作りからはじめて…ということをここ5年ほど続けているが、どうも一昨年あたりから白い花ばかり咲くようになった。それはそれで清々しくてよいのだが、同じ白ばかりとなるとどうもと思ってしまうのは、せっかく咲いてくれた花に申し訳ない贅沢か。
  タネを取るときに花色ごとの選別を面倒くさがり、一緒の袋に保管していたものから、たまたま白い花のタネ(普通はこの時点で見分けがつかない)ばかり植えてしまったのが原因と思われる。
  それならと、庭で紫色のアサガオを育てている「ラジオな気分」スタッフのYさんとタネを交換し、うまいこと色が混ざってくれればと同じ鉢に植えてみたが、今のところそれぞれ単色ずつ紫と白の花が咲いている。

  梶よう子の「一朝の夢」を読んだ。幕末の江戸を舞台とした時代小説である。
  主人公の中根興三郎は、奉行所の閑職にいて出世や時局には興味がない。唯一、朝顔(作中では漢字表記)の栽培にはひとかたならぬ情熱を注いでいる。植物学者さながら様々な交配を試しながら、いつか幻の黄色い朝顔を咲かせるのが夢だ。
  お話は幕末の不穏な空気を孕みつつ進み、興三郎は朝顔を通じた出会いによりいつの間にか政争に巻き込まれて行く。
  物語のカギとなるのが、さる大名の庭園で出会った宗観という粋人である。詳しくは書かないが、この人物の正体が分かる後半にいたって、多くの読者はその人物像の描き方に新鮮な驚きを覚えるはずだ。
  梶よう子著「一朝の夢」は、朝顔についての蘊蓄も読みどころとなる。江戸の愛好家は品種改良に精を出し、変化朝顔とよばれる珍しい朝顔の作出に精を出した(彼らはまだ発見されていなかったメンデルの遺伝の法則を、経験則から理解していたようだ)。
  朝顔は秋が来れば枯れてしまう一年草である。今年咲いた花とまったく同じ花に、来年また出会えるとはかぎらない。作者はこのことを宗観に「一期一会」と表現させている。
  人とて朝顔と同じ。もう二度と会えないかもしれない相手との一期一会を連ね、作者は「激動」の前夜とその後を、余韻たっぷりに描ききった。松本清張賞 受賞作。

   


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