Personal


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佐々木淳吾 ぢゅんご式大人の読書感想文
佐々木淳吾


誕生日
1976年11月25日
出身地
東京都 江東区
血液型
O型
担当番組
【テレビ】
ウォッチン!みやぎ
(月〜水)7:30頃〜8:00

【ラジオ】
うたまつり!
(日)18:30〜19:00
趣味
車、靴、時計、カメ
今、興味のあること
英語とイタリア語の親戚関係
得意ジャンル
007シリーズ
好きなタレント、芸能人
広瀬すず
ナタリー・エモンズ
私の好きな・・・
映画
「ニューシネマ・パラダイス」
「きみに読む物語」
「シャレード」
お気に入りの場所
愛車の運転席
私のよく行くお店
うなぎの開盛庵
藤崎百貨店
私ってこんな人です
落ち着きがない!
超マイペース!!
『読み応え十分の短編集「満願」』
2017/11/14


  しばらくご無沙汰してしまった。この期間も、変わらずあれこれ読んでいた。そうした中から、読み応えのある短編集が堂々文庫化!という1冊をご紹介したい。米澤穂信の「満願」である。
  米澤穂信といえば、殺人などの物騒な事件ではない「日常の謎」を扱うミステリーを数多く執筆している。「日常の謎」というのは例えば、なぜ開いていなかったはずの窓が開いているのかとか、冷蔵庫の中のおやつを食べたのは誰か、といった日常生活の、小さいけれど不可解な出来事をさす。
  映画にもなった「氷菓」は、神山高校の古典部に在籍する省エネ高校生・折木奉太郎(おれきほうたろう)が探偵役となり、学園の謎を解く青春ミステリー。「氷菓」に始まる一連の「古典部シリーズ」など、まさに「日常の謎」を地で行く、米澤穂信の代表作である(映画「氷菓」もよかった)。

  いっぽう「満願」に収録される各作品では、非日常の世界が描かれている。語り手がそれぞれ明け暮らす日常に、ふと生じた暗くて深い闇。ある者はその闇に誰か他人の罪を見つけ、冷たい重石を背負うことになる。また、ある者は自らが闇に飲まれ、人生を狂わせて行く―。
  6つの作品が収録された短編のうち、個人的には「万灯」が恐ろしい。バングラデシュの天然ガス田を他社に先がけて開発すべく、現地在住の商社マンが奮闘する。強固な反対派を抱えた村を開発拠点にすることは容易でなく、焦るあまり彼は黒い誘惑に身を投じることを決意する。
 「万灯」にかぎってではないが、とにかく終盤の伏線の回収が見事。強引さはみじんも感じられず、話の本筋に必要不可欠な仕掛けだけが整然と束ねられて行く。そこにあるのはとてつもない恐怖と、どこまでも苦々しい読後感である。
  読み終えるたび「イヤミス」、そんな言葉が浮かんだ。読んで、イヤ〜な気持ちになるミステリー。「まさか米澤穂信がイヤミスを…」と思ったけれど、実は米澤穂信って結構、青春小説の顔したイヤミスが多いことに気付く。そうか、米澤さんって隠れイヤミス作家だったんだ。
  2015年度このミステリーがすごい!1位。これほど読み応えのある短編集は、僕の読書歴では稀有だ。このページの多くの読者に、強くオススメしたい1冊である。

   


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