Personal


[バックナンバー]
佐々木淳吾 ぢゅんご式大人の読書感想文
佐々木淳吾


誕生日
1976年11月25日
出身地
東京都 江東区
血液型
O型
担当番組
【テレビ】
ウォッチン!みやぎ
(月〜水)7:30頃〜8:00

【ラジオ】
COLORS
(月)9:00〜12:00
うたまつり!
(日)18:30〜19:00
趣味
車、靴、時計、カメ
今、興味のあること
英語とイタリア語の親戚関係
得意ジャンル
メリハリ全般
好きなタレント、芸能人
小嶋陽菜
アンバー・ハード
私の好きな・・・
映画
「ニューシネマ・パラダイス」
「マイ・インターン」
「シャレード」
お気に入りの場所
自宅のソファの上
私のよく行くお店
うなぎの開盛庵
私ってこんな人です
落ち着きがない!
超マイペース!!
『あなたも私も「毒」がある』
2017/03/08


  東京・豊洲の新市場予定地で、土壌および地下水から汚染物質が確認されて問題となっているのはご承知のとおりだ。
 元々都市ガスの工場があった場所で、製造過程の副産物であるベンゼンやシアン化合物、水銀、カドミウムといった物質が検出されたのだ。
  汚染除去の費用負担について責任の所在が追及される中、今度は築地市場にも土壌汚染の疑いが浮上したという。人の心と同じで、およそ現代の我々が使いならして来た土地は多少なりとも「毒」を抱えているものなのだろうか。

  そんなことを思いつつ、宮部みゆき著「名もなき毒」を紹介する。巨大企業グループ会長の娘婿であり、広報誌の編集を手がけるビジネスマン杉村三郎を主人公にしたシリーズの2作目である。1作目の「誰か ―Somebody」を読んでいなくても大丈夫。これ1冊で十分楽しめる内容となっている。
  杉村の職場では、雇って半年になるアルバイトの原田(げんだ)いずみがとんでもないトラブルメーカーとなっていた。何度教えても仕事ができない、ミスを指摘するとすぐにキレる、あげく経歴詐称まで明らかになり……編集部員達はいずみの暴走に振り回される。
  時を同じくして、青酸カリによる無差別連続毒物混入事件が世間を騒がせていた。これら一見無関係に思われる2つの出来事が、杉村三郎という善良な市民を橋渡し役に結びついて行くのだから、宮部みゆきの精巧なプロットには恐れ入る。
  さらに終盤、手に汗握る展開も用意されていたりと、文庫版で600ページ近いボリュームはあるが飽きさせない1冊である。
 「名もなき毒」のテーマは、タイトルにもあるとおり「毒」だ。
  毒とは、化学物質としての毒物であり、人が誰しも心に抱える「悪意」をさす。他人との関係や世の中の理不尽に、心にため込んだ怒りをしまい込む。多くの人はそれを上手くコントロールして社会生活を送っているが、どういうわけか「悪意」という毒に汚染されてしまう輩がいる。本作では、原田いずみや毒物混入事件の犯人がまさにそれだった。

  さて。豊洲である。築地である。今いちばん怒りをため込んでいるのは、市場で働く人々であり、都民ではあるまいか。言うまでもないことだけど。

   


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