Personal


[バックナンバー]
佐々木淳吾 ぢゅんご式大人の読書感想文
佐々木淳吾


誕生日
1976年11月25日
出身地
東京都 江東区
血液型
O型
担当番組
【テレビ】
ウォッチン!みやぎ
(月〜水)7:20頃〜8:00
ウォッチンプラス(土)9:25〜10:25
【ラジオ】
COLORS
(月)9:00〜12:00
うたまつり!
(日)12:30〜13:00
趣味
車、靴、時計、カメ
今、興味のあること
英語とイタリア語の親戚関係
得意ジャンル
メリハリ全般
好きなタレント、芸能人
小嶋陽菜
アンバー・ハード
私の好きな・・・
映画
「ニューシネマ・パラダイス」
「私の中のあなた」
「シャレード」
お気に入りの場所
自宅のソファの上
私のよく行くお店
うなぎの開盛庵
私ってこんな人です
落ち着きがない!
超マイペース!!
『その部屋 大丈夫ですか』
2015/12/08


書籍協力:金港堂

  京極夏彦の作品を紹介して「ホラーなんて怖くないもんね」みたいな気分になっていた。前回書いたように、彼は探偵役の登場人物に「この世には不思議なものなど何もない」といったセリフを言わせている。どんな怪異も真相が分かれば何てことはない、読者は種明かしの過程を楽しむのだ。そんな約束を、京極先生とは結んだはずだったが……。

  一級品のホラーと出会ってしまった。小野不由美の「残穢」だ。「残穢【ざんえ】−住んではいけない部屋−」のタイトルで1月30日に映画(監督:中村義洋 主演:竹内結子)が公開されるのを前に、原作を手に取ってみた。
  作家である「私」は、小説を書くかたわら怪談を蒐集していた。ある日、久保さんというひとり暮らしの女子大生から手紙が届く。新しく越したマンションの和室から、畳を掃くような奇妙な音が聞こえるという。急いで目をやるが、誰もいない。何もない。
  多くの方が、きっとそこは前に自殺者が出たり悲惨な出来事があったいわゆる事故物件なのだ、と想像するだろう。「残穢」は、そんな読者の期待を思いも寄らぬ形で裏切る。「私」と久保さんは、事態の根深さに気圧されつつも、恐るべき真実へと少しずつ近付いて行く。ホラードキュメンタリーの形式をとり、調査の過程で怪談作家や怪奇専門家らが実名で登場することも、作品の意図するリアリティに拍車を掛ける。
  僕達はよほどの旧家、名家でないかぎり、いま住んでいる場所にかつて何があったかを遠い過去まで知ることはない。別の民家だった、商店だった、駐車場だった、畑だった―ある程度は、人の記憶や地図などで分かる。では、その前は?さらにもっと昔は?悠久の歴史からすれば、さかのぼれる時間などたかが知れている。
  「残穢」。おそらくは小野不由美の造語と思われる。読んで字のごとく「残された穢(けが)れ」である。新しい土地に入るとき、地を鎮め、穢れを祓う。しかし、祓えない穢れが残ったらどうなるか。
  戦争や高度成長、バブル崩壊などを経て様変わりした日本人と土地との関係性に、一石を投じるホラー。それが「残穢」である。

  映画「残穢【ざんえ】−住んではいけない部屋−」を、ひと足早く試写会で観た。怖い、怖い。しばらく音に敏感になるなあ。サッサッと畳を擦るような音が、我が家でもしやしないか。
 和室、ないんだけど。

   


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